神奈川県中央交通株式会社とソフトバンクグループのSBドライブ株式会社による自動運転バスのサービス実証実験が多摩市内でスタートしました。
今回は運行初日に実際に乗車してきましたので、その模様をお伝えします。
都内公道初の「自動運転バス」実証実験
今回、自動運転バスの実証実験が行われるのは、多摩市の豊ヶ丘四丁目からスーパーサントク貝取店までの約1.4km区間です。
期間は2019年2月13日(水)から2月22日(金)までの10日間(土日は運行せず)、午前9時30分から午後4時まで、毎日合計12本が運行されることは先日お伝えしました。
今回の実証実験は都内公道で初の乗客を乗せたということもあり、大きく注目されています。運行初日のこの日、多摩ポン編集部は初日の第1便に乗車することができました。
乗車人数は各便先着8名ということで、1時間以上前から待っていた方もおられました。
今回は前方左手の横並びのシートに座りました。バックミラー上に1台、運転席の後ろに2台のモニターディスプレイが設置され、運転席には乗務員の方が着席していました。(※車内は許可を得て撮影しています)
後部席は3名座ることが出来るシートがありました。またこの日は報道関係のクルーも乗車していました。
発車前に神奈川中央交通の鈴木さんより、今回の実験概要について説明がありました。
それによると、走行ルートは幹線道路のバス停から高低差のある団地内を通って、地域のスーパーまでを実験ルートとして設定することで、自宅からのちょっとしたお買い物に利用できるのではないかということを想定して、このルートが選ばれたそうです。
GPSと磁気マーカによる自動走行
今回の自動運転は、街路樹などにより、GPSが受信できないエリアがあるということで、走行ルート1.4kmのうち1.1kmに磁気マーカを道路に敷設(直線箇所では2m間隔、交差点やカーブでは1m間隔)し、GPSの感度が悪いエリアについては、磁気マーカを検知してバスの位置を正確に把握し、自動走行を行います。
運転席の後ろにあるモニターではどちらの信号で運転されているかが表示されていて、写真左側はGPSのみの自動走行時、中が青い写真右側は磁気マーカでの自動走行時を表してます。
自動運転バスの概要が分かったところで早速、出発です。
こちらのディスプレイでは運転席の様子が映し出されています。
乗務員さんは乗っていますが、ハンドルには触ること無く自動で回っていました。
しかし、今回の自動運転では、信号の認識は確立されているものの、全ての信号に通信の機能がついていないということで、ブレーキのみ運転手さんが手動で踏んでいるとのことです。
遠隔監視システム「Dispatcher」
バックミラー上のモニターには、車内の様子が映し出されていました。これは遠隔監視システム「Dispatcher」というもので、AIがカメラの映像を検知して、走行中に人が動くと人物のマーカーが反応し、「危ないですので走行中の立ち上がりや移動はご遠慮ください」という注意を促すアナウンスが自動で流れます。
運行の様子は、神奈川中央交通の多摩営業所でも遠隔で監視していて、異常時は遠隔のパソコンにもアラートが発信されるそうです。将来的には、通信で呼びかけをしたり、人が駆けつけする場合も考える必要があるとのことでした。
モニターにスーパーのお買い得品が表示
もう1つのモニターには、今回の終点となる「スーパーサントク貝取店」の日々のお買い得品情報が表示されます。
スーパーサントク貝取店に到着
途中2ヶ所のバス停を経由し、およそ10分で終点の「スーパーサントク貝取店」に到着しました。
豊ヶ丘団地の丘を下る際は、かなりスピードを抑えて走っていましたが、交差点での一時停止や右折、左折などの乗り心地は、普段のバスと変わらないほどスムーズな運転が印象的で不安は特に感じませんでした。
ここで改めて自動運転バスを見てみましょう。
今回の車両は日野自動車製の小型バス「ポンチョ」をベースとした自動運転実験車両が使われています。
こちらはバスの後部。
バスの左側に乗車と降車のドアが設置されています。
車両には車線維持制御、速度維持制御、障害物回避制御、車線変更制御、バス停正着制御など、様々な装置が取り付けられているそうです。
運転席の様子も見させていただきました。
SBドライブ株式会社の丹野さんにお話しを伺ったところ「多摩ニュータウンは高低差が大きく、住民の方の高齢化も進んでいて、自動運転の需要が高いエリア。今後も公共交通の課題を解決するために実証実験を行って、実用化を目指していきたい」と話しました。
今後の日本は人口減少により、バスの乗務員が不足する地域が出てくることが懸念されていますが、今回の実証実験は、地域住民の方にも、商売をするお店の方にも、バスの運営会社の方にも大きな技術革新の一歩ではないかと思います。
課題は多いと思いますが、今回の実証実験により実用化に向けて頑張って欲しいですよね!
自動運転バスのサービス実証実験概要
実施期間:2019年2月13日(水)〜2月22日(金) ※土日は実証実験は実施なし
運行時間帯:9:30〜16:30 (30分に1便程度運行予定)
運行ルート:豊ヶ丘四丁目バス停→スーパーSantoku貝取店(約1.4km)
※ルート上に2箇所のバス停を設置。
※天候やその他道路状況等により、安全確保が困難な場合、実証実験を中止する場合があり(神奈川中央交通、SB ドライブのHP等に掲載)。
※実験参加者はスーパーSantokuから、手動運転で同じルートを走るバスで帰ることが可能。
運行車両:日野自動車製小型バス「ポンチョ」をベースとした自動運転実験車両
料金:無料
乗車方法:事前の乗車予約は必要ありません(先着順:各便定員 8 名)。
注意:※混雑時等は整理券を配布する場合あり。
※途中バス停では、満席により乗車できない場合あり。
主催:神奈川中央交通株式会社、SBドライブ株式会社
協力:株式会社三徳
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