2020年から改修工事のため約2年間休館していた多摩市の複合文化施設「パルテノン多摩」。
2022年3月27日(日)に行われる「リニューアルプレオープンDAY」に先駆けて、関係者向けの再開館記念式典と内覧会が行われました。今回は新しくなったパルテノン多摩の内部をお伝えします!
シームレスにつながった2階ロビー
まずは2階のロビーから見ていきましょう。
以前は、大ホールと小ホール、ミュージアムごとに区切られていた壁の多くが取り払われ、シームレスに行き来できるようになりました。
総合案内所
総合案内所は西側の入口入ってすぐの位置に移動。従来、貸館受付は1階でしたが、2階の総合受付でも貸館受付も行うそうです。
ミュージアムとロビーを仕切る壁を撤去することで館の入口からミュージアムを見通せるようなしつらえとなり、来館者の興味が沸くような空間となりました。
大階段の下のロビーはトップライト設けられ以前よりも明るい雰囲気に。
従来、大ホール専用だった旧サブホワイエ空間はロビー空間の一部となり、来館者が自由に行き来可能になりました。
ホール入口の壁面は3軸織物で装飾して、間接照明を施して温かみのある非日常的な特色ある空間に。ロビーと大ホールエリアを仕切っていたコンクリート壁や天井材を取り除き、天井を鏡面にすることで開放感のある空間になっています。
広場空間に自動演奏楽器が設置
階段下の広場空間には旧マジックサウンドルームを展示していた自動演奏楽器を展示して、より身近に触れることができます
こちらは1910年(明治43年)頃にアメリカで作られた小型自動オーケストラ楽器「ピアレス・トリオ・オーケストラ」。上扉の中にはヴァイオリンパイプとフルートパイプの2種類のパイプと44個のハンマーを持つ、ピアノが並んで20人から30人に相当する規模の合奏を行います。
実際に聞いてみたところ、自動演奏のクオリティは素晴らしく、ものすごい音量に圧倒されました。今後は定期的に演奏されるそうです。
なお、広場前の階段横にはエレベーターを新設され、階段下の客席中央部エリアや楽屋エリアまでバリアフリーでアクセスが可能なり、車いすの方でも舞台が利用しやすくなったそうです。
大ホール
続いてはパルテノン多摩の顔となる「大ホール」へ。
座席数は1129席(固定席945席+取り外し可能184席)、車いすスペースは25席あります。
座席幅は以前の49cmから52cmとゆとりをとり、ゆったりと舞台を鑑賞できます。
さらに、前後の座席をずらして配置し、前の席のお客さんとかぶらずに舞台の見やすさを改善しています。
後方の客席エリアは床を底上げして、勾配をつけることで見やすさを改善。壁面の反射板を改善して生演奏の響きの良さにくわえ、セリフを聞き取りやすくなるなどバランスのとれた音響の客席空間になっています。
後ろ席の客席デザインは、上野にある「東京文化会館」と同じく3色のモザイク状にランダムに配置して、客席の賑わいを演出しています。
座席の最後方部には多目的鑑賞室を設置。通称「親子鑑賞室」と呼ばれていて、周囲に気遣うことなく、小さいお子さんと一緒に公演を鑑賞できるようになりました。車いすの方も利用可能です。
小ホール
続いては「小ホール」へ。小ホール前のアートは以前の作品がそのまま残っていました。
小ホールの座席数は265席(固定254席+取り外し可能11席)。壁や天井を更新し、色の明るさを抑えることで、より舞台に集中しやすい鑑賞環境になりました。
こちらも前後の座席をずらして配置し、前の席のお客さんとかぶらずに舞台の見やすさを改善。ゆとりのある座席幅にしてゆったりと舞台を鑑賞できます。
客席エリア内の階段脇の客席には手かけを導入したり、段差解消機を導入して、車いすのお客さんも最前列で鑑賞可能となり、舞台上にもアクセスしやすくなりました。
2階ミュージアム
2階総合案内の横には「パルテノン多摩ミュージアム」が設置。
来場者が直接書き込める「まちの情報ステーション」や、メイン展示の「多摩・発見コーナー」や街を再発見できる「まちへの入口」のほか、
農村から多摩ニュータウンへの変化の様子を紹介。参加型のみんなでつくるミュージアムになっています。
2階オープンスタジオ
こちらは以前、展示のみしか利用できなかった空間がシンポジウムやコンサート、ダンス、演芸などの催しや住宅管理組合、商店会などの総会など、多目的なイベント空間として、利用できるオープンスタジオになりました。
壁面上方にキャットウォークを設置して音響や照明を操作する機器を導入。様々な演目を可能にしました。
なお2階にあるオープンスタジオでは、3月27日(日)/4月1日(金)~3日(日) 9:00~17:00まで、1980年代のアメリカ美術を代表するストリートアーティスト、キース・ヘリングさんが昭和62年(1987年)の「パルテノン多摩」プレイベント時に描いた作品「マイタウン」と「平和」の壁画が展示されます。(※撮影不可)
市民ギャラリー
西側入口から入ってすぐには展示や発表の場として使いやすい「市民ギャラリー」もありました。
4階フロア
続いて、4階フロアへ。
こちらには会議室のほか、クリエイティブラボや、キッチンラボ、こどもひろばOLIVEなどの施設があります。
会議室
会議室は1〜5(定員16名〜100名)まであり、プロジェクターの投影も可能で、セミナーなど様々な用途で利用できます。
クリエイティブラボ
クリエイティブラボは、ワークショップやセミナー、親子イベント、クリエイティブな利用ができるスペースです。壁はガラス張りになっていて、来館者が廊下からワークショップなどの様子を見ることが出来ます。
席もテーブル席のほか、円卓の座敷席などもありました。
キッチンラボ
クリエイティブラボの隣にあるキッチンラボは、料理や食材をテーマにしたワークショップや教室、サロン、ミーティング利用にも対応可能な交流スペースであるキッチンアトリエ。
壁面収納のキッチンと調理器具のほか、子供と一緒に活動できるよう、子供用の踏み台、椅子、調理器具を導入してあります。
カフェコーナー
こちらにはカフェコーナーが新設。
カフェコーナーには休憩できるテーブル席がありました。
コーヒー・紅茶やジュースなど、当面は飲み物のみの提供となるそうです。
ライブラリーコーナー
隣接エリアするにはライブラリーコーナーが新設。
多摩市立図書館から様々な絵本などがあり、親子で読みきかせして過ごすことも可能になるそうです。
トイレエリアには子供用のトイレも設置されています。
こどもひろばOLIVE
続いては多摩産材を使った木製遊具を設置した、こどもひろばOLIVE。
「わくわくひろば」や「きらきらひろば」には木製遊具が設置してあります。
乳児を遊ばせることができるスペース「よちよちルーム」のほか、子育て相談スペース、一時保育ルームを併設。
子育て支援サービスなどを提供しています。
なお、「こどもひろばOLIVE」などがある4階フロアへは、多摩中央公園内の大池前の入口(以前「カフェ トレーノ・ノッテ」があった場所)からも入ることができます。
3月27日(日)〜30日(水)にはオープニングイベントとして下記の参加自由なイベントが開催。期間中、わくわくひろばに入場したお子さん各日100名にハローキティとしまじろうの多摩市オリジナルシールがプレゼントされるそうです。
- 大人もこどもも楽しめるわくわく紙芝居シアター(3/27(日)14:30〜、15:30〜各回30分程度)
- 体験!ストリートオルガン(3/27(日)〜3/30(水)11時、14時、16時〜各回30分程度)
- オリーブの葉っぱをつくろう(3/27(日)〜3/30(水)9時〜18時)
1階 フロア
最後は1階フロアへ。
クラフトラボ
こちらの「クラフトラボ」はタイル張りの床で水場を備え、水洗いが必要な工作もOK。工作や美術制作に最適なスペースになっていて、多様な工具や工作器具やロックミシンを完備し、舞台の小道具や衣装の制作なども可能です。
この他、練習室1〜3(各室定員40名)やリハーサル室(定員110名)などの大部屋もありました。
再開館記念式典
この日はリニューアルプレオープンに先駆けて、再会館記念式典イベントが行われました。
阿部裕行 多摩市長から栗原喜美子館長へ、施設引き継ぎのセレモニーが行われたほか、テープカットが行われました。
式典では多摩市出身のピアニスト・石坂 奏さんにより、1987年(昭和62年)のパルテノン多摩のグランドオープン時に音楽家の久石譲さんが作曲したオープニングテーマソング『風と鐘のシンフォニー』などがピアノで記念演奏されました。
3月27日(日)は自由に見学できる「リニューアルプレオープンDAY」が開催
ということで新しくなったパルテノン多摩の内部をお伝えしました!
3月27日(日)には「リニューアルプレオープンDAY」として、新しくリニューアルしたパルテノン多摩を誰でも予約不要で自由に見学可能できる内覧会が行われます。(内覧時間は9:00~17:00。※一部諸室はのぞく)
この機会に新しくなったパルテノン多摩を見学してみてはいかがでしょう!
パルテノン多摩
所在地:東京都多摩市落合2丁目35
アクセス:京王相模原線、小田急多摩線、多摩モノレール「多摩センター駅」徒歩6分