『散歩する侵略者』最優秀作品賞受賞で黒沢清監督「最大の感謝を捧げたい」【第9回TAMA映画賞授賞式②】

SPONSORED LINK
長澤まさみ 満島ひかり

2017年11月18日、パルテノン多摩にて開催されたTAMA映画賞授賞式の模様をお届けしています。

SPONSORED LINK
ネコサポ

最優秀女優賞 長澤まさみ 満島ひかり

『散歩する侵略者』『銀魂』『追憶』などに出演し、「予期せぬ出来事に運命に翻弄されながらも寛大で奥深い愛情表現に女優としての器の大きさを感じさせた」演技が評価され受賞となった長澤まさみさん。

「こんなにアットホームで温かな気持ちになる映画祭は初めてな気がします。この賞をいただけたことで、今後の自分の励みになり、お芝居をがんばっていきたい気持ちが強くなりました」とスピーチ。

夫を怒っている場面が多かった『散歩する侵略者』について「毎日疲れ果てていました。人に何を言うっていうのはエネルギーを使うものなのだなと思った」と振り返り、今後の展望として、「今までの積み重ねがこの先に生きていけばいいなと思っている。見てくださるお客様に楽しんで、見たことが価値のあるものだと思ってもらえるよう努力しないといけないと思っています」と語りました。

満島ひかり

『海辺の生と死』で「島の神話的世界、終戦間際の生と死の極みにおける愛を匂い立つように表現し、圧倒的な存在感を観客に与えた」ことで受賞となった満島ひかりさんは、目を引くカラフルなドレス姿で舞台に登場。

第1回での最優秀新進女優賞に続く2度目の受賞となる満島さんは、「1回目とは映画賞自体の様子が違ってスムーズになっていて、楽屋に置いてあったマカロンにTAMA映画賞のマークがついていて余裕があるなあと」話し、客席を和ませます。自身のルーツでもある奄美大島での撮影となった『海辺の生と死』について、「しゃべり言葉が生まれ育った場所に近かったので、東京弁よりはなじみがある言葉。島の言葉を使って撮影することで自分の心に近づいた言葉が吐けた」と語りました。

最優秀男優賞 浅野忠信 池松壮亮

最優秀男優賞 池松壮亮

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『続・深夜食堂』に出演、「緩急自在で豊かな人物造形力は、作品に奥行きを与え、観客を心置きなく作品の世界に誘った」ことでの受賞となった池松壮亮さんは、舞台に坊主頭で登場。

予期せぬ風貌に客席が若干ざわつきを見せる中、「自分にはこの賞は恐れ多くて坊主にしてきました」と話した池松さん。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』について、「個人的にこの作品には思い入れがあり、渾身の1本というかとても大好きな作品でこの賞をいただけることがうれしく思います」とスピーチ。

さらに「日本映画が苦しくなっているのは誰の目にも明らかで、こんなご時世に映画をやっていていいのかと思う僕は正直悲観的な人間でもあるんですが、人の心に届かない映画を何本作っても同じなので、一本一本こだわって、『あと一本』というレベルになるかもしれないけれど、あきらめずにやっていきたいと思います」と映画にかける思いを語り、最後に「今年はこれ一本だと思ってやっていたんですが、来年は何本かありますので、お時間ありましたらよろしくお願いいたします」と話した後「謝罪会見みたい(笑)」と締めくくり客席を笑わせました。

「観客の想像力を掻き立てる深みと魅力ある存在感で、今後も唯一無二の存在であり続けることを確信させた」ということで最優秀男優賞を受賞した浅野忠信さんは授賞式を欠席。代理で『幼な子われらに生まれ』の江守徹プロデューサーがプライズを受けとり、「映画の中で主演の信になりきらせてくれて、真の家族を演じさせてくれた共演者の皆様と見守ってくれたスタッフ、そして、何よりも三島監督に深く感謝いたします。そして、私、浅野忠信を選んでいただいたTAMA映画祭の皆様、本当に本当にありがとうございます」と浅野さんのメッセージを伝えました。

最優秀作品賞 石井裕也監督 黒沢清監督

最優秀作品賞 石井裕也監督

最優秀作品賞受賞の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』。「大都会において見えない不安に苛まれながら寄りそう若者の姿は、一人ひとりの内なる感情と共鳴した」という評価で受賞となり、プライズを受けとった石井裕也監督は「感覚的に自由に作った映画を評価していただけてとてもうれしいし、励みになります」と語りました。

池松壮亮さんと石橋静河さん

作品賞受賞に際して、本作に主演した池松壮亮さんと石橋静河さんも壇上へ。石井監督は、これまで何度かタッグを組んできている池松さんについて「池松くんは、僕にとって特別で、人生を賭けて大勝負しようと思うときにいてほしい存在」と語り、さらに今回初主演となった石橋さんへ「これからが大変だと思う。求められるものがどんどん変わってくると思うので頑張ってほしい」とメッセージを贈りました。

黒沢清監督。

この日、受賞者のトリを飾ったのは最優秀作品賞『散歩する侵略者』のメガホンをとった黒沢清監督。「侵略者の地球襲来を通して現代社会を暗喩しつつ、新しい世界観のエンターテインメントを創り上げた」評価での受賞となりました。

「これまでいくつかの映画祭で賞をいただいております。ただ、ほとんどが監督賞や審査員特別賞などばかりで、今回やっと最優秀作品賞をいただきました。一等賞ですね。こんなうれしいことはありません。映画を撮り続けているとこんな幸せな日が来るんだと知りました。」と喜びを語った黒沢監督。

人々の概念を奪う侵略者に翻弄される人々を豪華キャストで描いた『散歩する侵略者』撮影について「日本映画は何より俳優の力でもっていると思う。僕自身撮影でも特に指示をせずほとんど俳優にお任せしてしまうこともあるのですが、えらいものでみんな宇宙人の役で「何星人」だとか何も説明していないのに(笑)、見事に演じてくれました。最大限の力を発揮してくれてカメラに収めるのが楽しくてしょうがなかった」と振り返りました。

黒沢監督とともに、本作に出演した長澤まさみさんと高杉真宙さんも舞台へ。

長澤まさみさんと高杉真宙さん

黒沢監督から「現場でカメラが回るとすごく力を発揮するんですけれど、回っていないとき煮え切らない感じで、それがすごく魅力的でした」と評された長澤さんは恥ずかしそうに笑顔。一方、高杉さんについて監督は「本当に真面目な努力家。チャラいというのの真逆。見た目がこう美しいので、いろいろな役が回ってくると思うんですけれど、芯のしっかりした真面目な青年でした」と高く評価し、本作で感情をあらわにしない侵略者を演じた高杉さんは撮影時のことを「現場でずっと緊張していたので、無表情でいたと思います」と振り返りました。

最後、「大先輩に囲まれて、現場に立っていることが幸せだと改めて思いました。いろいろと緊張して迷うこともたくさんあったけれど、みなさんと一緒にお仕事ができて楽しかったです」(高杉さん)「本当に大きな愛の物語です。自分が考えていることが正しいのかと問われたり、それぞれに心に響くメッセージを受けとってもらえるような作品。その一方でとても笑えるおかしいシーンもあったりして、不思議なジャンルの新しい感覚の映画になったと思います」(長澤さん)とキャスト二人が作品への思いを改めてコメント。

そして、黒沢監督が「日本映画ではなかなか成立しづらい企画にすべての力を注いでくれた俳優、スタッフ、プロデューサー含め本当にみなさんに感謝します。実現できただけで僕は幸せでした。そして、それを最優秀作品に選んでいただいたTAMA映画祭に最大の感謝を捧げたいと思います」と締めくくりました。

第27回TAMA CINEMA FORUMは2016年11月18日(土)から26日(日)まで東京都多摩市の3会場4スクリーンで開催中です。

第9回TAMA映画賞受賞作品・受賞者はこちら!

最優秀作品賞
『散歩する侵略者
黒沢清監督、及びスタッフ・キャスト一同

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』
石井裕也監督、及びスタッフ・キャスト一同

特別賞
湯浅政明監督、及びスタッフ・キャスト一同
『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』
富田克也監督、及びスタッフ・キャスト一同
『バンコク・ナイツ』

優秀男優賞
浅野忠信
『幼な子われらに生まれ』『沈黙 -サイレンス-』『淵に立つ』『新宿スワンⅡ』
池松壮亮『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『続・深夜食堂』『デスノート Light up the NEW world』『永い言い訳』

最優秀女優賞
満島ひかり
『海辺の生と死』『愚行録』
長澤まさみ
『散歩する侵略者』『銀魂』『追憶』『金メダル男』

最優秀新進監督
菊地健雄『ハローグッバイ』『望郷』
瀬田なつき
『PARKS パークス』

最優秀新進男優賞
間宮祥太朗『トリガール!』『帝一の國』『劇場版 お前はまだグンマを知らない』『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』
高杉真宙
『逆光の頃』『散歩する侵略者』『トリガール!』『想影(おもかげ)』『ReLIFE リライフ』『PとJK』

最優秀新進女優賞
石橋静河 『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『PARKS パークス』『密使と番人』
土屋太鳳『トリガール!』『PとJK』『兄に愛されすぎて困ってます』『金メダル男』

スポンサードリンク

多摩ポンをフォローする

follow us in feedly→多摩ポンを購読する 

多摩ポンへの情報提供・取材依頼はこちらをご覧ください

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

ai

フリーランス・ライター。「ねとらぼエンタ」「シネマズby松竹」「ウレぴあ総研」などで執筆しています。趣味はオーケストラでヴァイオリンを弾くこと。稲城市のオーケストラ「稲城フィルハーモニー管弦楽団」に所属し、毎年、多摩近辺で演奏会を行っています。