2019年11月17日(日)から12月1日(日)まで多摩市内の3会場で開催中の第29回TAMA CINEMA FORUM。3日目となるこの日、パルテノン多摩・小ホールにて前田敦子さんの特集プログラム「映画界のミューズ 女優・前田敦子」が開催。
出演作『Seventh Code』『旅のおわり世界のはじまり』が上映後、前田敦子さんと黒沢清監督によるトークショーが開かれました。
映画界のミューズ 女優・前田敦子
今年『旅のおわり世界のはじまり』『葬式の名人』『町田くんの世界』ほかでの演技が評価され、最優秀女優賞を受賞した前田さんはシックなブルーのワンピースで登場。
『散歩する侵略者』で2017年のTAMA映画賞最優秀作品賞を受賞している黒沢清監督は、『Seventh Code』以降7作中3作品で前田さんとタッグを組んでいます。
そんな黒沢監督が最初に前田さんをはじめて見たのは「Q10(キュート)」というドラマだったそうです。「あれをたまたま見た時に『あ、この人面白い』と思って、(前田さんが)女優を目指しているという情報や、プロモーション用の映像を観て、こんなに素敵なんだなと思った」と前田さんの最初の印象を語りました。
その後、日中合作の作品でヒロイン役として前田さんにオファーしたのがはじめての出会い。残念ながらその作品は頓挫してしまったものの、その数年後に秋元康さんから、前田さんの新曲のプロモーション用の映像を撮ってもらえないかという依頼がきたそう。
「秋元さんからは何分でもいいです。唄も特に入れなくていいですと。ひとつだけ撮影場所は、東アジアでもなく、ヨーロッパでもアメリカでもない、中間あたりの国の中に前田敦子がいると、彼女の個性が一番よく発揮できるんじゃないかと思うんですねと仰ったんですよ。結果的にウラジオストックで撮影しましたけど、その秋元さんの直感というか、『旅のおわり世界のはじまり』でm本当に東アジアとヨーロッパの中間のウズベキスタンでこれが再び実現するとは思っても見なかったですけどね」と、当時の想い出を話しました。
『旅のおわり世界のはじまり』での撮影について、前田さんは「ウラジオストクはすごく不思議な場所でしたね。日が長くて、全然ナイトシーンになれなかったんです」と撮影時の想い出を語ると劇中、「愛の讃歌」を唄うことについて「最初はがんばります!ってなったんですけど、「あ〜なんてこった!なんでこんなハードルの高い曲を〜と軽い気持ちで言った自分を後悔しましたね。「絶対出来ない」と言っちゃいけないと思いました」と撮影時のエピソードを話すと「大切なシーンをごまかし無しで撮りたいんですと言ってくださるので、こちらもしっかりやらなきゃと、やりがいはすごくありました。ごまかしは監督の目には全く通用しないです」黒沢監督の演出手法についても話しました。
同作は海外の映画祭でも、かなりの反響だったそうで、ドーハ映画祭で上映した時は取材で現地のメディアから「どうして『Seventh Code』に続いて前田敦子さんなんですか?」とか「AKB時代から前田敦子を使おうと思ってたんですか」とか結構聞かれて、前田さんファンが世界各国でいるなと感じます」と黒沢監督が話すと、前田さんは「黒沢さんはやっぱり世界の黒沢さんだと。映画祭に参加している監督は、みんな(黒沢監督の)ファンです言っているんです。(それを観て)うわ、すごいなあ、かっこいいなと思います」と黒沢監督に尊敬の念を伝えました。
黒沢監督は「自分の作品は分析できてないですけど、日本以外の国とは全然違う環境の中でも映画が撮れる、ヨーロッパやアメリカとは全く違う不思議で独特なものになるなあと。そういう映画の可能性を探りたいなと思うのは、前田さんがいるからそういう気持ちが沸き起こると思います。この女優を使って、世界のいろんな国で物語を作っていくというのは、いろんな可能性があると思います」と前田さんをべた褒めする場面も。
これには前田さんも思わず「監督にそう言ってもらえて、生まれてきてよかったと思います」と満面の笑みを見せると、今後、もし出演する際はどんな役をやってみたい?とのMCからの質問には「私からは何をやりたいとかはないですけど、なんていうか、一生使ってほしいです」と黒沢監督との再タッグを熱望していました。
トーク終盤では会場からの質問コーナーとなり、就活中という大学生からは「前田さんが女優をやりたいと思ったのはどのタイミングで思ったですか」とういう質問に「早いうちから将来の夢を持ちたくて、なんとなく言い出したところがはじまり。親に言うのが恥ずかったけど、頑張って言ってから本当に目指してみたいと思っているから、自分は言えたんだなとていう確信に変わったので、12歳くらいから言ってたんじゃないかなあという感覚があるんですけど、それでAKBに入って、なにがやりたいかと思った時に女優さんですって、私はお芝居がしたいんです。踊りって唄いたい訳ではないと言う感じ(笑)だったんですけど、今は笑い話でだから言えるんですけど、でもそこがあるから今があると思っているので、なんでも経験出来ることはしたほうがいいなってAKBが教えてくれましたね。頑張ってください」と就活生にエールを贈っていました。
前田敦子さんは、来年放送のNHKドラマ『伝説のお母さん』に出演。黒沢清監督は先日の、TAMA映画賞で前田敦子さんとともに最優秀女優賞を受賞した蒼井優さん主演のドラマ『スパイの妻』が2020年春にNHK BS8Kで放送を予定しています。
第29回TAMA CINEMA FORUMは2019年11月17日(日)から12月1日(日)まで、東京都多摩市の3会場で開催中です。
第11回TAMA映画賞受賞作品・受賞者はこちら!
最優秀作品賞
- 『嵐電』(鈴木卓爾監督、及びスタッフ・キャスト一同)
- 『長いお別れ』(中野量太監督、及びスタッフ・キャスト一同)
特別賞
- 新海誠監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『天気の子』)
- 藤井道人監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『新聞記者』)
最優秀男優賞
- 山﨑努(『長いお別れ』)
- 井浦新(『嵐電』『こはく』『赤い雪』『止められるか、俺たちを』『宮本から君へ』ほか)
最優秀女優賞
- 蒼井優(『長いお別れ』『宮本から君へ』『斬、』『ある船頭の話』『海獣の子供』)
- 前田敦子(『旅のおわり世界のはじまり』『葬式の名人』『町田くんの世界』ほか)
最優秀新進監督賞
- 山戸結希監督(『ホットギミック ガールミーツボーイ』『21 世紀の女の子』)
- 奥山大史監督(『僕はイエス様が嫌い』)
最優秀新進男優賞
- 成田凌 (『愛がなんだ』『チワワちゃん』『さよならくちびる』『人間失格 太宰治と3 人の女』『翔んで埼玉』ほか)
- 清水尋也(『ホットギミック ガールミーツボーイ』『パラレルワールド・ラブストーリー』『貞子』)
最優秀新進女優賞
- 岸井ゆきの(『愛がなんだ』『ここは退屈迎えに来て』『ゲキ×シネ「髑髏城の七人」Season 風』)
- シム・ウンギョン(『新聞記者』)
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