2021年11月21日(日)に府中市の「どりーむホール(府中の森芸術劇場)」で開催された「第13回TAMA映画賞授賞式」の模様をお伝えしています。
尾野真千子さん(最優秀女優賞)
『茜色に焼かれる』『明日の食卓』『ヤクザと家族 The Family』『心の傷を癒すということ 劇場版』で最優秀女優賞を受賞した尾野真千子さん。
「少しずつですが、女優として皆さまに認めて頂いてるのかなと、これからも頑張らないといけないなという気持ちにさせていただきました。これからももっと心に響く作品に出会っていけたらと思います。これからも映画を、尾野真千子をよろしくお願いいたします」と受賞挨拶
『茜色に焼かれる』では、理不尽な現実に対して戦い続けるお母さんの姿が印象的な尾野真千子さん。劇中で理不尽な裏切りに合うシーンについて聞かれると「ほんとに話自体に腹が立って、戻ってこれなかったんですよねこの時代に。大変でした。どん底になって泣き崩れてしまって、監督に「お時間ください」ということを久しぶりに言って現場を止めてしまって…。なんとか3分くらいで戻ってこれました」と話し、MCが「ずいぶん早かったんですね」とツッコミを入れると「そうですね、切り替えが早いんでね」と切り返し、会場の笑いを誘う場面も。
コロナ禍の中で撮影もやりにくい状態が続いてる今日。現場がひとつになり素晴らしい作品が作ることが出来たという出演時のエピソードを聞かれると「普段の半分くらいの人数で撮影をしたので、ひとつにならざるを得ない状況でした。この作品では、これがひとつっていうんだなって要所要所で感じられたんですよね。感じられたことが私にとっては良かったなと思って、これが感じられることが出来なかったら、この先もこんな暖かかったことと知らずに撮影してたなって思いましたし、こんなに現場でお世話になってたんだなってことも知らずにいたんだろうなって。だからそういうひとつっていうことを感じられて、私は本当に幸せだなと思いました」と振り返りました。
最後に今後について聞かれると「今後も女優をやっていきたい。それが私の夢です。これからも映画をたくさんの人に愛してもらえるようにがんばっていきます。なので、皆さんもぜひ映画というものを愛してください」と会場に詰めかけた来場者に呼びかけました。
役所広司さん(最優秀男優賞)
『すばらしき世界』『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』『竜とそばかすの姫』で最優秀男優賞を受賞した役所広司さん。
「素晴らしい賞をありがとうございました。『すばらしき世界』の西川美和監督のもとに集まった素晴らしいスタッフ、キャスト。本当に良いチームでした。おかげでこんな素晴らしい賞をいただきました。それと細田守監督の『竜とそばかすの姫』と『バイプレイヤーズ』の役所広司役も後押ししてくれたんだと思います。こうして映画を見てくださったお客様のおかげでこんないい賞をいただけたことを感謝してます」と受賞挨拶。
「西川美和監督の作品が本当に僕は好きで、作品へコメントを書かせていただいたりしていました。『すばらしき世界』でやっとお声が掛かったなと、とても嬉しかったです」と話しました。
映画祭のパンフに今後取り組みたい映画として“おじいさんのロードムービー”に出演したいと寄せた役所さん「せっかくじいさんになってきましたんで(笑)昔、若い頃に火野正平さんとお酒を飲みながら70くらいになったらロードムービーをやろうと話したことがあるんです。耳の聞こえないおじいさんと目の見えないおじいさんが2人で小さなアパートに暮らしてて、その2人のところに怪しい大金が転がり込んで、日本中を旅する映画をやろうよと言ってたんですけど。ロードムービーというと、デヴィッド・リンチ監督の『ストレイト・ストーリー』(1999)という映画があって、ああいうのは年を取らないと出来ないことですし、年取ってこういう仕事が出来るのが羨ましいなと思ってたので、いつかそういう作品をやりたいと思ってます」と今後について展望を話しました。
コロナ禍で映画やテレビ作品の多くが制作中止や延期が相次いだ今年について聞かれると「今年仕事をしたのは、全部去年に中止になった作品なんです。今も撮影中なのですが、当初の撮影時期から1年半も延期になるとスタッフも変わりますし。たくさんの映画を志したスタッフや俳優さんも、コロナ禍でその夢を諦めなければいけないという話を聞きました。でもやっと動き出して、まだ不自由な撮影ですが、みんなが帰ってこられるように頑張りたいです。みなさんの応援をよろしくお願いいたします」と今後の活躍を誓っていました。
第13回TAMA映画賞受賞作品・受賞者はこちら!
最優秀作品賞
- 『ドライブ ・マイ・カー 』 濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同
- 『あのこは貴族 』岨手由貴子監督、及びスタッフ・キャスト一同
特別賞
- 土井裕泰監督 ・ 坂元裕二さん、及びスタッフ・キャスト一同 『花束みたいな恋をした』
- 横浜聡子監督 、 及びスタッフ・キャスト一同 『いとみち』
最優秀男優賞
- 役所広司『すばらしき世界』『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』『竜とそばかすの姫』
- 菅田将暉『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『浅田家!』
最優秀女優賞
- 尾野真千子『茜色に焼かれる』『明日の食卓』『ヤクザと家族 The Family』『心の傷を癒すということ 劇場版』
- 有村架純『花束みたいな恋をした』『映画 太陽の子』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』ほか
最優秀新進監督賞
- 藤元明緒監督『海辺の彼女たち』
- 松本壮史監督『サマーフィルムにのって』『青葉家のテーブル』
最優秀新進男優賞
- 藤原季節『のさりの島』『佐々木、イン、マイマイン』『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』
- 金子大地『サマーフィルムにのって 』『猿楽町で会いましょう』 『先生、私の隣に座っていただけませんか?』 ほか
最優秀新進女優賞
- 三浦透子『ドライブ・マイ・カー』『椿の庭』『おらおらでひとりいぐも』『アイヌモシリ』
- 伊藤万理華『サマーフィルムにのって』『息をするように』